コロナ禍が不動産に与える影響とは?賃料と価格について考察

世界的にも大きな影響を与えている新型コロナウイルス。
物流網がシャットダウンされ、人の行き来も出来なくなる事態に陥りました。

また、東京でいえば普段は賑わっている街中がシャッター街と化し、以前のように満員電車に乗ることも少なくなりました。

このように経済打撃のみならず、私たちの生活にも多大な影響を与えている新型コロナウイルスですが、不動産市況についてはどのような影響があるのでしょうか?

今回は賃料(家賃)と不動産価格という2つの側面から考察していきたいと思います。

コロナ禍の賃料はどう変わるか?

まずは賃料(家賃)についてです。

店舗や事務所の賃料

新型コロナウイルスを抑制するために政府が行っている自粛措置によって、ホテルや店舗、事務所は非常に大きな影響が出ています。特に飲食店・居酒屋・アパレル・インテリア雑貨などのテナントは、2020年3~5月の売上高で最大90%程度減少しているところも多くみられました。

売り上げが立たないことに起因して、家賃の減免措置要請も相次いでおり、国土交通省から家賃交渉に応じた場合の税の減免などが提案されておりますが、貸主にとって条件が厳しく、家賃交渉に応じた場合には貸主が一定の損害を見込む必要があります。

貸主は賃料を下げたくない、ただ、借主側は賃料を支払えない、という状況が続けば、残される道は”テナント退去”か”賃料の減免”です。貸主の心境としては”空室になるよりは…”と考えるのが一般的なことを加味すると、テナント賃料は多少なりとも下がる傾向になると考えられます。

ただ、賃料の減免を行ったとしても企業収益自体が上がるわけではありませんので、コロナ禍によって外出規制が長引くほどに”テナント退去””空室の長期化”の可能性は高まると考えられます。

居住(住宅)系の賃料

居住地は生活必需であることから、居住系の賃料はもともと価格変動しづらいという特性を持っています。

1つ、東京圏のワンルームマンションの平均賃料推移を見てみましょう。

2014年3月 70,914円
2017年3月 71,954円
2018年3月 72,280円
2019年3月 73,131円
2020年3月 73,797円
2021年3月 74,069円
公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産業統計集」より

上記の数値からも居住系の賃料にはコロナ禍がさほど大きく影響しておらず、堅調に上がり基調であることが見て取れます。

この理由として、先程もお伝えした通り居住地は生活必需であることや、テレワークによる拠点としての活用など、新しい活路が生まれていることが可能性と考えられます。

コロナ禍で都心の不動産価格は落ちる!?

コロナ禍によるテレワークの実施や働き方の変化によって都心での不動産ニーズが落ち、不動産価格が急落するのではないかという見立てをしている専門家もいるようですが果たしてどうなのでしょうか?

結論から言えば、確かにコロナ禍によって不動産市況は活発でこそありませんが、不動産の価格は下落しているわけではありません。

むしろ、都心ではオリンピックに向けて訪日外国人を受け入れる宿泊施設や空港、交通機関などの大規模なインフラ整備がまだまだ進められています。

品川ゲートウェイや虎の門ヒルズといった新駅が登場して、大手町、渋谷でも大型の開発が進行、リニア中央新幹線(品川〜名古屋間)も2027年開通予定となっているなど、東京のインフラ整備・開発は続いているため、都心の不動産価格が急落することは考えにくいと言えます。

また過去の市場崩壊の後を例に見てみると、平成バブル(1988~1989と定義)の崩壊の後には不動産価格は上昇し、価格が下がるまでに数年を要しました。またリーマン・ショック(2008年9月)の後には2012年頃まで天井圏から1割弱程度の下落である4,500万円の水準を維持しながら2013年には上昇に転じ、2019年には平成バブルと同じ水準の価格にまで到達しました。

このように市場崩壊後も不動産価格はある程度維持されていたと考えれば、コロナウイルスやオリンピック延期など経済活動の制限の影響による、今後の不動産価格の急落は考えにくいと言えます。

ただし、世界経済停滞の煽りを日本が受ける可能性は大いにあるため、急落はないとしても、一時的に価格が落ち込む可能性は0とは言えません。
そういった意味合いでは、コロナ禍が不動産の買い時になる可能性もあり得るかもしれませんね。

まとめ

未だ収束が見えない新型コロナウイルス。コロナ禍の影響は、日本国内の不動産市場に関して限定的であるようです。不動産投資という位置づけで考えれば、賃貸市況においては店舗や事務所などの商業テナントの退去リスクはあると思いますが、個人向け住居に関して影響は少ないと言えます。また家賃の相場自体も景気や株価の影響で大きく下落することはなく、一定の水準を保つと言えるでしょう。

不動産価格については、リーマンショックなど下記の例を見ても、今すぐ下落に転じる心配はないと言えます。不動産業界ではローンを組むケースが多い事から、「金融機関からの融資」といった金融政策も影響を受ける大きな要素となります。コロナショックを契機にアメリカでは既に金融緩和が進んでいますので、日本でも金融緩和が行われ資金調達のハードルが下がると、不動産の需要が下がらず、むしろ上がる可能性も存在していると思います。需要が上がるのであれば価格が下がることもないということです。

また、海外の投資家の日本の不動産への投資意欲は引き続き好調ですし、国内でも長期保有の資産購入に対して意欲的な投資家も多いため、好立地の物件であれば大幅な価格の下落も起きにくい言えます。これらを踏まえ不動産投資の観点からいえば、今後も居住用として賃貸需要の高いエリアで不動産を選ぶことが大事だと言えます。

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